乳児嚢胞性疾患の3例

  • 紫野 正人
    群馬大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 村田 考啓
    群馬大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 安岡 義人
    鶴谷病院 耳鼻咽喉科
  • 近松 一朗
    群馬大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • Three Cases of Congenital Cysts in the Upper Airway in Infants
  • 症例 乳児嚢胞性疾患の3例
  • ショウレイ ニュウジノウホウセイ シッカン ノ 3レイ

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抄録

<p>乳幼児の上気道は細く脆弱なため,小さな嚢胞でも容易に狭窄し,いびき・無呼吸や吸気性喘鳴,時にチアノーゼ,呼吸困難を生じる。今回,上気道狭窄や哺乳障害を初発症状とした,生後6カ月以内の乳児における先天性嚢胞性疾患を3例経験したので報告する。</p><p>症例1は上気道感染時に偶発的に発見された喉頭嚢胞である。生後6カ月時に喉頭微細手術にて嚢胞を全摘した。症例2は生後1週間頃からの喘鳴のため,生後1カ月で初診となった。右披裂から梨状陥凹に嚢胞を認め,生後2カ月時に喉頭微細手術にて嚢胞を全摘した。症例3は吸気性喘鳴と体重増加不良で,喉頭軟弱症を疑われ生後1カ月で紹介となった舌根嚢胞である。嚢胞が喉頭蓋を圧排して喉頭軟弱症の病態を呈していた。生後2カ月時に経口的に嚢胞開窓術を行った。病理組織は症例1, 2で喉頭嚢胞,症例3では甲状舌管嚢胞であった。全症例で嚢胞の再発や声帯運動障害はなく良好に経過している。治療は嚢胞全摘が理想的だが,患児への侵襲性を考慮して,症例によっては開窓術を選択すべきである。また気管挿管の可否や術後管理のため,麻酔科や小児科と密に連絡を取る必要がある。</p>

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