<em>Aspergillus </em>属の酵素学的特性
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- 高橋 真美
- 戸板女子短大
書誌事項
- タイトル別名
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- Enzymological characteristics of <em>Aspergillus </em>sp.
抄録
【目的】近年、チーズ消費量は増加しており、国産ナチュラルチーズの増産体制も強化され、乳製品向け生乳の需給の安定をめざし、多種多様なチーズが製造されている。ナチュラルチーズは、乳を乳酸菌やキモシンの作用で凝固し、発酵熟成される。熟成とは、乳酸菌や酵素、カビの作用で乳のたんぱく質や脂肪などを分解し、種々のチーズの個性的な風味や組織を形成することであり、重要な工程である。その中でも、キモシンは、κ-カゼインを分解して乳タンパク質の凝固を起こすことからチーズ製造には欠かせない。現在は、微生物由来の凝乳酵素、遺伝子組換え技術で生産された酵素も生産され、実用化されている。そこで、本研究では、Aspergillus属の菌株を用いて、キモシンとの酵素学的特性について検討した。<br />【方法】菌株は、前培養を行い、小麦ふすまに培養し、酵素溶液として供した。カードの基質は、10%還元脱脂粉乳溶液を用いて、恒温水槽に保った後、酵素を添加し測定した。タンパク分解活性は、カゼイン溶液を基質として660nmの吸光度を測定し、比較検討した。<br />【結果】凝乳酵素活性は、反応温度が40℃以上ではAspergillus属の菌株は、キモシンよりも凝乳活性は低値であった。タンパク分解活性は、Aspergillus属の菌株の方が高温になるほど高値となった。キモシンとの比較では、特にタンパク分解活性において、Aspergillus属の菌株の方が高くなる傾向であった。これらの結果は、微生物由来のキモシン代替酵素が有する特性の1つであり、チーズ製造において、苦みやカード収率の低下の要因となっている。今後、チーズ製造への実用化には遺伝子組換え技術など検討する必要があると推察された。
収録刊行物
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- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
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日本調理科学会大会研究発表要旨集 29 (0), 205-, 2017
日本調理科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205692310784
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- NII論文ID
- 130006032160
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可