胎生期脳の正常発達とその損傷

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  • Normal and abnormal development of the preterm brain

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抄録

<p> 近年の周産期医療の進歩は超早産児の死亡率を著しく低下させた. 脳室周囲白質軟化症や脳室周囲出血性梗塞・出血後水頭症といった粗大な脳病変も, 全体として減少傾向にある. しかし, 超早産児が抱える神経学的後障害は高率のまま存在する. 超早産児に認める知的障害や発達障害などの多彩な神経後障害の病態は, 脳室周囲白質軟化症などの脳病変のみでは説明できず, 正常な脳発達の変容に着目すべきである. 脳波・MRI研究の進歩は, 胎生期から新生児期にかけての脳の構造的・機能的発達過程を解明する有用な手段である. 胎生期に一過性に認めるサブプレートニューロンは, 活動依存的発達に重要な役割を担い, 発達期の体性感覚地図や網膜地図の形成, 視床皮質ネットワークの形成, 皮質内抑制系の成熟に必須である. 今後は, ヒトの知能・認知・言語の発達メカニズムの詳細を早産児期から明らかにすることが, 早産児に認める多彩な精神疾患や知的障害のメカニズムを解明する上でも重要である.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 49 (5), 315-321, 2017

    一般社団法人 日本小児神経学会

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