品胎1,336 g で出生した完全大血管転位症の治療経験

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  • Staged Repair for Transposition of the Great Arteries in a Premature Triplet Weighing 1,336 g

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抄録

<p>極低出生体重児に対する心臓手術の報告例は少なく,品胎に関しても同様である.今回われわれは,品胎かつ極低出生体重の完全大血管転位症に対して段階的に手術を施行し良好な経過を得た症例を経験した.母体は妊娠成立後,二絨毛膜二羊膜性品胎の診断で妊娠25週より管理入院となった.患児は子宮内発育停滞により,在胎33週5日,帝王切開で出生した.出生体重は1,336 gで,出生後に完全大血管転位症II型と診断された.一期的心内修復は耐術不能と判断し,日齢27にバルーン心房中隔裂開術を行った後,日齢29に両側肺動脈絞扼術を行った.その後,徐々に低酸素血症が進行したため日齢69に再度バルーン心房中隔裂開術を行い,日齢73に左側肺動脈絞扼解除術を行った.低酸素血症の一時的な改善は得られたものの強心剤投与および人工呼吸器管理を要する状況が継続し,日齢110,1,838 gで大血管転換手術を行った.術後は問題なく経過し,術後66日目に自宅退院した.小児心臓外科分野では全身状態や低体重などの問題により一期的な根治が困難な場合,段階的治療戦略を選択することとなる.しかしながら低体重児に関しては,段階的な姑息手術や最終的な根治手術の介入時期に関して明確な根拠に乏しく,現状として個々の症例ごとに治療戦略が計画される.本症例では品胎の極低出生体重児に対して治療方針の転換を余儀なくされながらも良好な経過が得られた.文献的考察を含めて報告する.</p>

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