くも膜下出血後遺症の男性に対する箱庭療法

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Psychotherapy for a Post-Stroke (Subarachnoid Hemorrhage) Patient
  • ニューロサイコアナリシスの観点から
  • The Perspective of Neuropsychoanalysis

抄録

<p>くも膜下出血を発症した59歳の男性Aに対する心理療法の過程を,ニューロサイコアナリシスの観点から検討した。Aは,健忘,見当識障害,実行機能障害などの高次脳機能障害を示した。病態失認,作話,それに神経心理学で言う“保続”もあった。しかしながらセラピストは,バウムテストの描画や特に箱庭を見て,回復の潜在的可能性を信じるようになった。バウムや箱庭は,似たようなパターンを繰り返しているように見えたが,その中に微妙な変化を観察することが可能であった。自宅に帰る希望は打ち砕かれた。すると,最終回の箱庭で,Aはすべての木を一度倒し,再びまっすぐに立て直し,最終的に切り株と枯れ木(死と再生の象徴)を置いた。それは,内なる宇宙に自己の弱さを入れ込むかのようであった。本事例は,描画や箱庭療法により,神経心理学的アプローチと力動的心理療法の統合が可能になるであろうことを示唆した。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679452111104
  • NII論文ID
    130006120171
  • DOI
    10.11377/sandplay.30.1_55
  • ISSN
    2186117X
    09163662
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ