<b>2.サリドマイド等のリスク最小化策改訂の評価ポイント </b>

  • 佐藤 嗣道
    東京理科大学薬学部薬学科/公益財団法人いしずえ

書誌事項

タイトル別名
  • <b>2.Points for Evaluation of the Revised Risk Minimization Plans on Thalidomide and its </b><b>Derivatives </b>
  • サリドマイド等のリスク最小化策改訂の評価ポイント
  • サリドマイド トウ ノ リスク サイショウカサク カイテイ ノ ヒョウカ ポイント

この論文をさがす

抄録

<p>サリドマイドおよびその誘導体であるレナリドミド,ポマリドミドは強い催奇形性をもつことから,これらの薬剤の⌈胎児曝露を 1 例も起こさない⌋ことを目的に,⌈サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS®)⌋および⌈レブラミド® ・ポマリスト® 適正管理手順(RevMate®)⌋が運用されている.本稿では,これらの管理手順の大幅な改訂(2016 年 4 月 1 日実施)に伴うリスク最小化策の評価ポイントについて記した.今回の改訂では,中央での一元的管理が緩和され,患者,医師,薬剤師の遵守状況に関する製薬企業の管理センターによる確認は事後的となり,医師・薬剤師による確認の重要性が増した.患者が妊娠回避等の行動を振り返り記入する⌈定期確認票⌋は,従来のように患者が管理センターに郵送するのではなく,受診の際に医師に渡し,記入内容を医師が確認することになった.また,家庭内の薬剤管理責任者の設置についても,患者自身による管理が可能な場合は不要とした.これらの改訂は患者会の要望に沿うものではあるが,改訂に伴い各医療機関における管理手順の実施体制が適切に構築されたか,医師・薬剤師による不遵守・逸脱が増加していないかを評価する必要がある.加えて,⌈定期確認票⌋への記入場所が自宅ではなく病院となるケースが増えると思われることから,それが患者の妊娠回避に関する意識と行動に影響を与えたかを評価できるとよい.また,家庭内に薬剤管理責任者を置かない場合に,リスクの認識と適切な行動に関する理解がパートナー/家族と共有されるかも評価のポイントとなる.改訂に伴う影響については,⌈TERMS 第三者評価委員会⌋および⌈RevMate 第三者評価委員会⌋による患者,医師,薬剤師を対象とする調査が行われており,近く結果がまとまる予定である.</p>

収録刊行物

  • 薬剤疫学

    薬剤疫学 22 (1), 9-18, 2017

    一般社団法人 日本薬剤疫学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ