地域ケア会議を想定した多職種による仮想事例検討会での住まいの見取り図活用効果

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タイトル別名
  • Utilization effect of floor plan sketches in hypothetical cases assuming a community care meeting
  • チイキ ケア カイギ オ ソウテイ シタ タショクシュ ニ ヨル カソウ ジレイ ケントウカイ デ ノ スマイ ノ ミトリズ カツヨウ コウカ

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抄録

<p>目的 事例検討会における住まいの見取り図(観察あるいは聞き取りによって得られた住まい方についての情報が住宅平面図に記載されたスケッチ,以下,見取り図)の活用効果を明らかにするために,多職種による地域ケア会議を想定した仮想事例(本研究用に作成した事例)を用いた事例検討会を実施した。</p><p>方法 2つの仮想事例(事例1,事例2)について,それぞれに見取り図のある場合,ない場合を設定した。実務に携わっている保健医療福祉の専門職5人からなる2グループ(Aグループ,Bグループ)を編成し,Aグループは事例1の見取り図なしと事例2の見取り図あり,Bグループは事例2の見取り図なしと事例1の見取り図ありの事例検討をこの順序で行った。事例検討会の検討内容や進行(所要時間や参加者の発言の特徴など)について,見取り図の有無でどのように異なるのかを比較検討した。また検討会終了後の参加者へのインタビューの逐語録も分析対象データとした。</p><p>結果 検討内容は,本人や家族の生活状況と支援,住まいと住まい方,2つに分類され,この項目は見取り図の有無に関わらず共通であった。しかし,特に住まいや住まい方については,見取り図がない場合は部屋の位置の確認に多くの時間を費やし,そこまでで終わっていたが,見取り図がある場合はさらに部屋の使い方や動線などに話題が及んでいた。また,その内容も,より具体的なものとなっていた。一つの事例に対する検討時間は平均41分(36~44分の間)で,見取り図の有無による大きな差はなかった。2回目の検討(見取り図のある場合)は,1回目(見取り図のない場合)と比べ,参加者の発言回数が増え,参加者同士のやり取りが活発になっている様子がうかがえた。参加者からは見取り図は,そこに本人や家族がいるようなイメージを抱き,事例をより身近なものと感じることができたという感想が聞かれた。</p><p>結論 事例検討会で見取り図を用いることは,情報共有のための時間が短縮し,かつ検討内容をより詳細に具体化させることに効果があるといえる。また見取り図は本人や家族の生活に関する想像力を喚起し,このことがアセスメントの広がりにも影響している可能性が示唆された。</p>

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