旧住所への逆ジオコーディング機能とGoogle Maps APIを利用した「近代東京ジオコーディングシステム」の改良

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Improvement of a geocoding system in old Tokyo city by using reverse geocoding to an old address and Google Maps API

抄録

１．はじめに <br>住所を座標値に変換する手法であるジオコーディングは様々なシステムやサイトにおいて用いられており，住所を座標値に変換したり地図に表示したりすることが可能である．しかし，歴史的な住所を扱うジオコーディングシステムは存在せず，このような住所に座標値を付与する作業は手作業により行う必要があった．そこで筆者らは，旧東京市15区を対象に，1907（明治40）年の住所（以下，旧住所）を座標値に変換する「近代東京ジオコーディングシステム」（以下，旧システム）を構築し（石川・中山 2017），2016年７月１日より公開してきた．旧システムの機能は，旧住所が入力されたCSVファイルをシステムに送信し，該当する住所の代表点座標値を伴ったCSVファイルが出力されるというものであった．しかし，この機能は旧住所の座標地を取得できるのみで，座標値を住所に変換する機能（逆ジオコーディング）や地図表示の機能は備えていなかったため，ユーザーは旧住所のジオコーディングを行う目的でしかシステムを利用できず，またユーザー自ら旧住所のデータを用意する必要があった．さらに，座標値を地図に表示するためにはGISや地図化サイトなどを別途使用する必要があった．逆ジオコーディングや地図化の機能などを追加することで誰もが利用しやすいシステムになると考えられる．そこで本研究では，旧住所への逆ジオコーディング機能と，Google Maps APIを利用して旧システムの改良版を構築（以下，本システム）することを目的とする．<br>２．旧住所への逆ジオコーディング<br>座標値を住所に変換する逆ジオコーディングは，入力座標値を含む住所ポリゴンデータや座標値から最短距離にある住所ポリゴンデータを検出し住所情報を取得することで座標値から住所への変換を行う．旧住所のポリゴンデータには，石川・中山（2017）で作成した1907年東京市範囲の住所ポリゴンデータを用いた．入力座標値が住所ポリゴン外の場合，入力座標値と各ポリゴンの距離を計測し最寄りの住所情報を取得する必要があるが，入力座標値を中心とした500m四方の空間インデックスを作成し検索対象を減らし処理時間を短縮した． <br> 逆ジオコーディングを利用する際には，旧住所に変換したい座標値を入力しその座標値の座標系と変換後の住所の階層レベルを指定する．指定した階層レベルの住所が存在しない場合はより上位階層レベルの住所情報が取得される．信頼度はユーザーの希望する階層レベルとシステムが返す階層レベルの差によって決定される．逆ジオコーディングは座標値から旧住所への変換のみならず，後述するGoogle Maps APIとの連携により現住所から旧住所への変換の際にも活用できる．<br>３．Google Maps APIの利用<br>本システムの地図表示にはGoogle Maps APIを使用した．図は大量の旧住所が入力されたCSVファイルから地図に一括表示した画面である．旧住所はジオコーディングにより座標値に変換され，その座標値を基にマーカーを配置している．マーカーをクリックすると信頼度などの詳細情報を閲覧できる．また，「地理院タイル」や「今昔マップタイル配信サービス」（谷 2017）といった外部タイルマップサービスからタイル画像を読み込むことで各種の地図に切り替えが可能である．さらに，旧住所を扱うジオコーディングや逆ジオコーディングとGoogle Maps Geocoding APIを連携させることで，旧住所と現住所の相互変換が可能となり広い分野での本システム利用が期待される．<br>文献<br>石川和樹・中山大地 2017．明治期東京におけるアドレスジオコーディングシステムの構築．地理学評論 90：125-136．<br>谷　謙二 2017．「今昔マップ旧版地形図タイル画像配信・閲覧サービス」の開発．GIS－理論と応用 25：1-10．

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205696802176
  • NII論文ID
    130006182789
  • DOI
    10.14866/ajg.2017a.0_100180
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ