脊髄髄膜瘤を有する二分脊椎症患者の静脈内鎮静法下歯科治療時に体位への配慮を行った1症例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Positioning of a Patient with Myelomeningocele during Intravenous Sedation for Dental Surgery:A Case Report

この論文をさがす

抄録

<p>二分脊椎症は,胎生期に生じた神経管の先天的閉鎖不全により起こる脊椎形成不全で,顕性と潜在性がある.脊髄髄膜瘤は,顕性の二分脊椎症で,髄膜と神経組織の脱出により形成された腫瘤のため,仰臥位では褥瘡を発症しやすい.今回われわれは,小児頭大の脊髄髄膜瘤を有する患者に対し,静脈内鎮静法下に歯科治療を行う際に,褥瘡予防のため体位に配慮した症例を経験したので報告する.患者は33歳,男性.日常生活は座位または腹臥位で送っている.上顎左側第二小臼歯のう蝕処置が必要であったが,局所麻酔への恐怖心などから協力が得られず,静脈内鎮静法下で治療を行うこととした.術当日,腫瘤の形状を記録後,体圧分散用具を用いて周術期体位をとり,仰臥位での腫瘤への圧の局所集中の予防と体圧の均等な分散を図った.また,麻酔管理を短時間とし,術後管理は座位で行った.術後に腫瘤の形状を確認したところ,圧痕などはなく血流も妨げられておらず,術前と比べ状態に変化はなかった.局所麻酔が必要な処置(抜髄)のみ静脈内鎮静法の適応とし,根管充塡や歯冠補綴は通法下で行った.通法下での処置時にも体圧分散用具を用い体位に配慮し,腫瘤への局所圧迫が生じないよう配慮した.本症例では,仰臥位での処置は褥瘡のリスクが高いと考えられたが,さまざまな用具を使用し麻酔管理時間を短くするなどの配慮により褥瘡発生を防ぐことができた.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ