外来リハビリテーションに通院する膝痛高齢者への痛み対処スキルトレーニングの効果

書誌事項

タイトル別名
  • The effects of pain coping skills training among older outpatients with osteoarthritis
  • ガイライ リハビリテーション ニ ツウイン スル シツツウ コウレイシャ エ ノ イタミ タイショ スキルトレーニング ノ コウカ

この論文をさがす

抄録

<p>目的:本研究では外来リハビリテーションを実施している膝痛高齢者に対して,膝痛への自己管理能力を高めるために,個別に痛み対処スキルトレーニング(Pain Coping Skills Training:PCST)を実施し,その効果について検討を行った.方法:対象者は変形性膝関節症の診断を受けて外来リハビリテーションに通院している膝痛高齢者25名(男性4名,女性21名,年齢75.4±6.3歳)で,個別にPCSTを実施するPCST群13名(男性2名,女性11名,年齢75.1±7.1歳),一般の健康講話を実施する健康教育群12名(男性2名,女性10名,年齢75.7±5.9歳)を対象者の希望に沿って割り付けた.介入については両群ともに週1回8週間(計8回),約20分のプログラムを実施した.基本属性は,介入前に性別,年齢,痛み持続期間,学歴,居住人数,現病歴,既往歴,合併症を質問紙で調査した.加えて,Body Mass Index(BMI)については計測,Kellgren-Lawrence分類(K-L分類)については診療録より情報を得た.痛みおよび痛み対処関連指標の評価として,痛みの程度及び痛みによる活動制限はJapanese Knee Osteoarthritis Measure(JKOM),痛み対処方略はCoping Strategy Questionnaire(CSQ)日本語版,痛み自己管理への見込み感には痛みセルフ・エフィカシー尺度を用いた.また,運動行動関連指標の評価は運動セルフ・エフィカシー尺度,身体機能指標の評価には,5回立ち座りテスト,Timed up & Go test(TUG)を用いた.各指標は介入前後に調査・測定した.また,身体活動量は3軸加速度計(Active style Pro HJA-350IT,オムロン社)で介入1週目と8週目にそれぞれ7日間計測した.分析については,介入前後の2群の変化量の差異を検討するため共分散分析を用いた.結果:PCST群は健康教育群と比較して,痛みセルフ・エフィカシー(p=0.005),運動セルフ・エフィカシー(p=0.042),5回立ち座りテスト(p=0.004),TUG(p=0.027)に有意な改善がみられた.さらに,PCST群は健康教育群より,不適応的な痛み対処方略とされる医薬行動の採用が減少傾向(p=0.073)であり,中高強度身体活動は増加傾向(p=0.052)が認められた.結論:PCSTは慢性膝痛高齢者に対して,痛みの自己管理スキル,身体機能,運動行動に好影響を与える可能性が示唆された.</p>

収録刊行物

参考文献 (22)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ