喉頭微細手術の準備と手技

  • 梅野 博仁
    久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • 第118回日本耳鼻咽喉科学会総会モーニングセミナー 喉頭微細手術の準備と手技
  • ダイ118カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ モーニングセミナー コウトウ ビサイ シュジュツ ノ ジュンビ ト シュギ

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抄録

<p> 喉頭微細手術は全身麻酔下に直達喉頭鏡を用いて喉頭を展開し, 手術用顕微鏡下で経口的に行う喉頭腔の手術である. 最近では, 直達喉頭鏡を基にした手術器具の進歩に伴い, 中咽頭・下咽頭・食道入口部の疾患に対しても手術が行われている. 手術術式は, 1) 良性隆起性病変の切除術, 2) 喉頭狭窄や麻痺に対する喉頭形成術, 3) 喉頭への薬剤局所注射を含めた声帯内注入術, 4) レーザーを用いた Transoral laser microsurgery(TLM), 5) 痙攣性発声障害に対する声帯内筋切除術など多種多様の術式が行われている. 喉頭微細手術の準備には, 気管挿管に用いるチューブの選択,患者の頭位, 歯芽損傷の予防などに気を配り, 使用する喉頭鏡, 鉗子類は手術手技に適したものを選択する必要がある. ハート型把持鉗子は声帯上皮マイクロフラップの把持に有用であり, アリゲーター鉗子は細かな組織の把持に有用で, ミニマイクロフラップ法や TLM での Type I cordectomy の手技に有用である. CO2 レーザー光をマイクロマニュピレーターで顕微鏡に誘導して手術を行う TLM ではハンドピースを用いたレーザー手術より手振れが少なく, 繊細で緻密な手術操作が可能である. 声帯の喉頭微細手術では手術前後に音声検査を行い, 音声評価を行う必要がある. 主な音声検査には聴覚心理的音声評価として GRBAS 評価があり, 音声評価の自覚的評価には VHI(voice handicap index), V-RQOL(voice-related quality of life) が用いられている. 空気力学的検査には, 最長発声持続時間 (maximum phonation time : MPT), 発声時平均呼気流率 (mean flow rate : MFR), 声門下圧などがあり, 音響分析には周期変動指数 (pitch perturbation quotient : PPQ), jitter, 振幅変動指数 (amplitude perturbation quotient : APQ), shimmer, 規格化雑音エネルギー (normalized noise energy : NNE), HNR(hermonic-to-noise ratio) などが用いられ, 声の高さ域や声の強さ域などの音声検査も行われている.</p>

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