破壊性脊椎骨関節症術後に非閉塞性腸間膜虚血を発症し救命できなかった1例

この論文をさがす

抄録

非閉塞性腸間膜虚血は1959年にEndeが腸間膜主管動静脈に閉塞が無い腸管虚血壊死の3例を報告し,以降致死率の高い疾患として報告がなされている.今回我々は透析患者の腰椎固定術後にNOMIを発症し,救命できなかった1例を経験したので報告する.症例は透析歴20年の75歳女性である.破壊性脊椎骨関節症による脊柱管狭窄が生じ,Th10から腸骨までの固定術を全麻下に施行した.術後3日目透析中に血圧低下,低酸素血症,イレウス併発し,ショック状態となり,ICU管理となった.造影CTではSMV分枝狭小化,管区域血流の低下を認め,NOMIが疑われた.術後6日目心停止し,蘇生したがアシドーシス補正不能となった.術後10日目死亡が確認された.NOMIは蘇生率50%であり,循環,呼吸不全,敗血症,血液透析が危険因子である.また血液透析患者の救命率は0%である.予防は難しいが,術前透析中や血圧低下時の腹痛や消化器症状の問診も重要である.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ