Hassab手術後の門脈血栓症予防としてのトロンボモジュリンアルファ投与経験

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  • The use experience of thrombomodulin alfa to prevent portal thrombosis after Hassab's operation

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抄録

トロンボモジュリンアルファ(リコンビナントトロンボモジュリン:rTM)はトロンビンと特異的に結合しその生成を抑える新規の作用機序をもつ抗凝固薬である.今回,Hassab手術後に門脈血栓症予防としてrTMを投与した1例を報告する.症例は70歳男性.C型肝硬変,脾機能亢進症にて外来フォロー中であった.2013年11月の腹部CT検査にて肝S8に28 mmの肝細胞癌と易出血性の食道静脈瘤を認めた.Hassab手術を先行し2期的に肝切除を行う方針とし,同年12月腹腔鏡補助下Hassab手術を施行した.rTMは手術当日および翌日に投与した.術後出血および門脈血栓症は認めず第20病日に退院となった.周術期におけるTAT, PIC, FMCなどの凝固線溶系マーカーの変動は,門脈血栓症発症例に比して小さい傾向であった.<br>rTMは術後の過凝固や線溶系の亢進を抑制し凝固線溶系のバランスを保つ.よってrTMの使用は出血傾向がありながら血栓症,特に門脈血栓症のリスクが高いHassab手術後症例における新たな門脈血栓症予防方法として安全で有効な方法ではないかと考えられる.

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