乾燥性皮膚疾患に対する低刺激肌着の検討

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  • Clinical Effects of Barrier-free Underwear for Xerotic Skin

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抄録

乾燥性皮膚疾患に対して,肌着が皮膚病変・自覚症状・生活の質に与える影響を主観・客観的に解析した。乾燥性皮膚疾患を有する20歳以上の患者33名を対象とし,被験試料はグンゼ株式会社が販売している完全無縫製の肌着(メディキュア®)を使用し,開始後14日後および28日後に評価した。紅斑・乾燥・掻破痕は14日および28日後共に有意な改善が認められた。結節・苔癬化は28日後に有意な改善が認められた。経表皮水分蒸散量は28日後に有意に減少した。そう痒による VAS score は14日および28日後に,疼痛による VAS score は28日後に有意に減少した。DLQI score は14日後・28日後に有意に減少した。研究終了まで明らかな有害事象は認められなかった。本研究品の肌着を着用後,各皮膚病変はいずれも有意に改善し,また,経表皮水分蒸散量・VAS・DLQI score も有意に低下した。以上の結果より,本研究品の肌着が,皮膚との摩擦を軽減することで,バリア機能を改善させ,その結果,乾燥によるそう痒や疼痛・皮膚病変も軽快し,患者の日常生活の満足度が高くなったと考える。よって,乾燥を有する皮膚には,日常のスキンケアに加え,縫い目や肌着の素材などを考慮し,刺激の少ない肌着を選ぶことが重要であることが示唆された。(皮膚の科学,16: 266-273, 2017)

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 16 (4), 266-273, 2017

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

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