局所再発をきたした乳腺periductal stromal sarcomaの1例

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タイトル別名
  • A case of local recurrence of periductal stromal sarcoma of the breast

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抄録

症例は63歳女性.2012年,右乳房の発赤を伴う硬結を主訴に受診.葉状腫瘍と診断され腫瘍摘出術施行.術後病理結果は乳腺症であり経過観察.2年後,切除部位に同症状を認め再検査.超音波検査で右乳房A領域に広がり5 cmの地図状低エコー域を認めた.皮下脂肪層内にも低エコーが進展し,浸潤による限局性皮膚肥厚が示唆された.パワードプラで豊富な血流信号を認めた.2012年と異なる所見は,皮膚から大胸筋までの厚みが増したこと,病変が拡大し,境界が不明瞭化していることであり,臨床症状も加味すると炎症性乳癌も否定できない画像所見であった.右乳房切除術施行.病理所見では紡錘形腫瘍細胞が正常腺管の周囲に浸潤性に増殖する病理組織像を認めた.紡錘形腫瘍細胞は免疫組織化学染色でビメンチン,CD34に陽性を示し,periductal stromal sarcoma(PSS)と診断.初発時の切片を再評価すると,再発腫瘍と同様の腫瘍成分を認めた.PSSは報告例も少なく,臨床および画像上特徴的な所見も乏しく診断が困難とされる.初回手術では確定診断に至らず,局所再発をきたしたPSSの1例を経験したので,超音波画像所見を中心に報告する.

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 45 (1), 61-68, 2018

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (8)*注記

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