キノコ由来ガレクチンACGの糖認識メカニズム

  • 平林 淳
    国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 胡 丹
    国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 舘野 浩章
    国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 桑原 直之
    大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
  • 加藤 龍一
    大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
  • 八木 史郎
    国立大学法人鹿児島大学

書誌事項

タイトル別名
  • Carbohydrate Recognition Mechanism of the Mushroom Galectin ACG

抄録

<p>食用キノコの一種であるAgrocybe cylindracea(和名:ヤナギマツタケ)の子実体にはACGと名づけられたプロト型のガレクチンが含まれる。ACGは他のガレクチンと異なり、血液型A抗原やフォルスマン抗原に含まれるGalNAcα1-3Gal/GalNAcという二糖構造にも結合する。ACGの構造はS4ストランドに配置される進化的に保存された65位のAsnを欠くが(Ala65)、この欠損は本分子に特徴的な伸張したループ領域に存在するAsn46によって補われている。最近行われた部位特異的変異導入によって、このAsn46をAlaに置換したN46A変異体が上記GalNAcα1-3Gal/GalNAc二糖構造を含むオリゴ糖に選択的に結合することが示された。胡らは、Pro45がシス型で存在するという以前の観察結果から、ACGがPro45のイミド基を介し二つのコンフォメーションをとると推定した。すなわち、シス型ではβガラクトシド構造を認識し、一方トランス型では上記GalNAcα1-3Gal/GalNAc構造を認識するというものだ。この二重認識という推定メカニズムが実際に正しいことが、その後の部位特異的変異実験とX線結晶解析によって証明された。ここで注目すべきは、N46A変異体が認識しているのは非還元末端GalNAcα1-3Gal/GalNAcという二糖部分のみだということだ。「ヤヌス型」と呼べる二つの顔を持った本レクチンは、一側面では従来のガレクチンの定義を満たすが、他側面ではもはや満たさない。ガレクチンが進化の過程で逸脱する過程を構想してみた。</p>

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参考文献 (8)*注記

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