胸水中に IgG4 陽性形質細胞浸潤を証明できた, IgG4 関連疾患と考えられる 1 例

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  • Cytologically proven IgG4-positive plasma cells in pleural effusion of a patient clinically compatible with IgG4-related disease

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抄録

<p>背景 : IgG4 関連疾患は全身諸臓器に多彩な病態を呈するが, 体腔液中の細胞所見に関する報告は少ない. 今回, 臨床像等から IgG4 関連疾患と考えられた 1 例の胸水中に IgG4 陽性形質細胞浸潤を証明できたので報告する.</p><p>症例 : 70 歳代, 女性. CT にて両側胸水, 心囊液貯留, 胸膜の軽度肥厚を認めた. 血中 IgG および IgG4 とも高値であった. 悪性疾患除外目的に胸水穿刺された. 胸水細胞像では小リンパ球主体の背景に, 異型の乏しい形質細胞が多数みられた. 明らかな悪性細胞は確認できず, 臨床所見から IgG4 関連疾患が疑われたが, 組織生検標本や細胞診標本での IgG4 陽性形質細胞の証明や形質細胞腫瘍の否定が困難であった. 胸水セルブロック切片の細胞所見も同様であったが, 免疫組織化学染色にて IgG 陽性形質細胞の約 50%強が IgG4 陽性を示した. Ig 軽鎖制限は認めず, 臨床所見など総合的に考慮し IgG4 関連疾患に伴う形質細胞浸潤と判断した.</p><p>結論 : 本例では, セルブロックを併用したことにより IgG4 陽性形質細胞の証明や腫瘍性疾患の除外が可能となった. IgG4 関連疾患の診断のためには体腔液細胞診とセルブロック作製も有用な情報を提供すると思われる.</p>

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