ラット落下実験による胸部応答評価と人体有限要素モデルとの比較

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タイトル別名
  • Evaluation of thorax impact responses in rat drop tests and comparison with human finite element model
  • ラット ラッカ ジッケン ニ ヨル キョウブ オウトウ ヒョウカ ト ジンタイ ユウゲン ヨウソ モデル ト ノ ヒカク

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抄録

交通事故による自動車乗員の死傷者を低減するうえで、胸部損傷の予防は重要な課題である。胸部は複雑な構造と血流や呼吸といった生理学的機能を有するため、かかる外力と損傷の関係を検討するうえでは、生体、つまり動物を用いた実験によるアプローチも必要である。自動車乗員がシートベルト、エアバッグといった拘束装置からの負荷によって胸部に加速度が発生する状況をin vivo動物モデルにて再現できる実験系を構築することを目的として、ラットを用いた落下試験を実施し、加速度変化に対する胸部応答を評価した。さらに、同一負荷条件を人体に適用した場合に、人体においても類似の応答が得られることを確認するため、人体有限要素モデルを用いた衝撃シミュレーションを実施した。ラットの胸骨加速度は複数のピークを持つ波形となり、その最大値はほぼテーブル加速度の設定値と一致した。また、脊柱加速度は若干胸骨加速度より遅れて発生した。この傾向は人体有限要素モデルにおいても確認された。ラットの実験結果と人体有限要素モデルのシミュレーション結果を比較するため、幾何学的相似性を仮定してスケーリングを行ったところ、胸骨加速度に関しては人体とラットとでほぼ同等の応答が得られた。小型動物モデルでもスケーリングを行うことで、人体の胸郭剛性の評価を補完・代替できる可能性が示された。

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