ほ乳動物細胞におけるタバコ特異的ニトロソアミン誘発DNA付加体の定量

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抄録

タバコの煙に含まれるニトロソアミンで,強力な前発がん物質である4-(methylnitrosamino)-1-(3-pyridyl)-1-butanone(NNK)とN’-nitrosonornicotine(NNN)は,DNA付加体を形成し,細胞内の塩基損傷に影響を及ぼす.このような損傷はヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair: NER)によってほとんどが修復されるほか,O6-alkylguanine-DNA alkyltransferase(AGT)が化学量論的に塩基中の損傷部位を除去する.したがって,AGTが枯渇することによってピリジルオキソブチル(POB)化DNA付加体が修復されずに残ると,DNA複製や転写の正確性や効率性に影響を及ぼし,遺伝情報の伝達をかく乱する恐れがある.喫煙と発がんとの因果性を検証するには,POB化DNA付加体の正確な定量法を確立することが課題となる.<br>本稿では,ほ乳動物細胞DNA中のPOB化dTおよびdG損傷の程度やDNA修復経路を評価するために,安定同位体希釈法とnLC-nESI-MS/MSを組み合わせた定量法を最初に報告したLengらの論文を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Leng J. et al., Anal. Chem., 89, 9124-9130(2017).<br>2) Li L. et al., Chem. Res. Toxicol., 22, 1464-1472(2009).<br>3) Urban A. M. et al., Chem. Res. Toxicol., 25, 2167-2178(2012).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 54 (4), 357-357, 2018

    公益社団法人 日本薬学会

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