パリのファッション産業における価値づけの装置

書誌事項

タイトル別名
  • Apparatus of Valuation in the Fashion Industry of Paris
  • パリ ノ ファッション サンギョウ ニ オケル カチズケ ノ ソウチ

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抄録

<p>本稿では,パリのファッション産業を事例に,価値づけの仕組みと大都市集積の役割を明らかにした。パリのファッション産業は,知識創造など非物質的労働と衣服の製造に伴う物質的労働,ネットワークと結合が典型的に見出される事例であり,またパリという空間の中で複雑な価値づけの仕組みを有している。すなわち,フォーマル/インフォーマルな制度・慣行・媒介者の存在,膨大なコモン,出会いとネットワーク構築を通じた知識・情報の相互移転,買い手とのマッチングを媒介するショー・展示会・小売店舗,そしてそれらが立地する場所といったものである。これらの雑多な諸要素が,パリの中で分散しつつも,それぞれの市場の価値づけ活動の中で結合し配置されることで,価値づけの装置として機能しているのである。ミリュー論をはじめとして,これまでの集積研究が,コーディネーション問題の解決と集団学習の基盤となる「領域化された制度・慣行」として産業集積地域を捉えてきたのに対して,産業集積あるいはミリューは「領域化されたコーディネーションと価値づけの装置」として捉えられることを示した。</p>

収録刊行物

  • 人文地理

    人文地理 70 (1), 25-48, 2018

    一般社団法人 人文地理学会

参考文献 (13)*注記

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