重症大動脈弁狭窄症に対する経胸壁心エコーの弁尖数診断能力の検証

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  • Diagnostic Accuracy of Transthoracic Echocardiography for Identifying the Number of Aortic Leaflets in Patients with Severe Aortic Valve Stenosis

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抄録

<p>目的:経胸壁心エコー検査(TTE)による重症大動脈弁狭窄症(AS)における二尖弁(BAV)の診断は困難な症例が存在する.今回,TTEによる弁尖数の診断能力を検証しBAVを三尖弁(TAV)と診断する要因を明らかにするとともに,BAVの診断能力を向上させる因子について検討した.</p><p>対象と方法:2010~2015年までのAS術前患者227例(男性126例,女性101例,平均年齢76.0±9.5歳)を対象とした.1)弁尖数は手術所見もしくはCT等より最終判断し,TTEによる診断能力を算出するとともに,TAVと誤診断されたBAV症例においては,その原因検索を行った.2)患者背景およびTTE計測データについてBAV群とTAV群の比較を行った.</p><p>結果と考察:1)対象227例のうちBAVは46例であった.TTEによるBAV診断能力について,感度35%,特異度99%,正診率86%と感度が極めて低い値であった.BAVをTAVと診断した10例では,縫線(raphe)や交連部の石灰化等によるアーチファクトが散見された.2)多変量解析にて年齢,左房径,上行大動脈径がBAVの独立した予測因子であった.ROC曲線にて,年齢72歳以下もしくは最大大動脈径40 mm以上のいずれかによるBAVの診断能力は,感度89%,特異度77%,正診率80%と感度を改善させることができた.</p><p>結論:TTEによるBAVの診断感度は低いが,複数断面からの観察によるrapheおよびアーチファクトの判別に加え,年齢や大動脈径という弁以外の指標を併用することにより,BAVの診断感度を向上させうると考えられた.</p>

収録刊行物

  • 超音波検査技術

    超音波検査技術 43 (2), 147-156, 2018

    一般社団法人 日本超音波検査学会

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