直腸癌に対する肛門括約筋温存手術におけるclosed suction drain留置の意義

  • 石橋 敬一郎
    埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科
  • 傍島 潤
    埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科
  • 田島 雄介
    埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科
  • 幡野 哲
    埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科
  • 大澤 智徳
    埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科
  • 岡田 典倫
    埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科
  • 横山 勝
    埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科
  • 中田 博
    埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科
  • 隈元 謙介
    埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科
  • 石田 秀行
    埼玉医科大学総合医療センター消化管・一般外科

書誌事項

タイトル別名
  • Significance of Closed Suction Drain Placement in Sphincter Saving Surgery for Rectal Cancer

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抄録

【目的】直腸癌の括約筋温存手術における,closed suction drainの縫合不全に対する意義について後方視的に検討した.さらに,縫合不全の危険因子についても検討した.【対象・方法】直腸癌に対する括約筋温存手術において,仙骨前面にclosed suction drainを留置した連続151例を対象.縫合不全の頻度,治療,ドレーン排液量の推移,縫合不全の危険因子について検討した.縫合不全の分類はInternational Study Group of Rectal Cancer(ISREC)groupのGrade分類に従った.<BR>【結果】縫合不全は6例(4.0%)に認めた.縫合不全のGradeはA 3例,B 1例,C 2例であった.縫合不全の部位が吻合部後壁の3例ではすべてGrade A,側端吻合の口側大腸断端の1例ではGrade B,吻合部前壁の2例ではいずれもGrade Cであった.ドレーン排液量は,縫合不全症例の方が,非縫合不全症例より第1病日までの排液量が多かった(p=0.04)が,第2病日,第3病日の排液量に差はなかった.縫合不全の危険因子について,ロジスティック回帰分析を行ったところ,単変量解析では側方郭清施行(p<0.01),ドレーン抜去日6日目以降(p=0.06)が選択され,多変量解析では側方郭清(p=0.04)のみが縫合不全の危険因子として同定された.<BR>【結語】直腸癌に対する括約筋温存手術においてclosed suction drainは,縫合不全発生率とのバランスから考えれば有用性は限定的である.

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参考文献 (15)*注記

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