肺動脈血吸引細胞診が有用であった悪性腫瘍関連肺高血圧症の 2 例

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  • Two cases of pulmonary hypertension associated with malignancy diagnosed by pulmonary blood aspiration cytology

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抄録

<p>背景 : 悪性腫瘍関連肺高血圧症はまれな疾患であり, 固形癌や慢性骨髄増殖性疾患にみられることが多く, 呼吸不全を伴うため診断困難な場合が多い. 今回われわれは肺動脈血吸引細胞診により診断・治療にいたった 2 例を経験したので報告する.</p><p>症例 : 症例 1 : 59 歳, 女性. 乳房切除術・化学療法後 6 年後に呼吸困難を自覚. 肺高血圧症を疑い, 肺動脈血吸引細胞診が施行され乳癌細胞を認め腫瘍塞栓性肺動脈微小血管症 (以下 PTTM) と診断. 治療により呼吸状態の改善を認めたが, 呼吸困難により 7 ヵ月後に永眠. 症例 2 : 72 歳, 女性. 21 年前に真性多血症と診断. 治療により血小板数以外は正常化. 今回労作時呼吸困難により肺高血圧症と診断. 肺動脈血吸引細胞診にて血小板産生巨核球と巨大血小板を認め, 真性多血症による肺高血圧症と診断. 治療により状態安定したが, 約 1 年で永眠.</p><p>結論 : 肺動脈血吸引細胞診は心臓カテーテル検査と同時に施行できるため生検困難な患者に対しても施行可能であり, 悪性腫瘍関連肺高血圧症の早期診断を可能にする非侵襲的な検査法である. また, 真性多血症を含めた慢性骨髄増殖性疾患の肺高血圧症の機序の解明にも寄与すると考える.</p>

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