鉄芽球性貧血のbiology

  • 張替 秀郎
    東北大学大学院医学系研究科 血液免疫病学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Biology of sideroblastic anemia
  • テツ ガキュウセイ ヒンケツ ノ biology

この論文をさがす

抄録

<p>鉄芽球性貧血は赤芽球のミトコンドリアに鉄の異常沈着を認める貧血であり,遺伝性・後天性に大別される。前者は,ヘム合成,鉄-硫黄クラスター合成・輸送に関わる遺伝子,ミトコンドリアDNA遺伝子などの先天変異により発症し,後者は主として骨髄異形成症候群の一型(MDS-RS)として発症する。遺伝性のうち,最も頻度が高い鉄芽球性貧血は,赤血球型5-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)遺伝子の変異によるX連鎖性鉄芽球性貧血であるが,遺伝性鉄芽球性貧血そのものの頻度は後天性と比べ極めて低い。最近の大規模ゲノム解析により,MDS-RSにおいてRNAのスプライシングに関わるSF3B1遺伝子の変異が極めて高率に認められることが明らかとなり,本遺伝子の変異がMDS-RSの診断や病態において重要な意義を持つようになった。ただし,先天性・後天性いずれの場合でも,遺伝子変異がどのように鉄芽球性貧血の発症に関わっているか十分に解明されていない。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 58 (4), 347-352, 2017

    一般社団法人 日本血液学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ