建築設備と衛生管理の現状と課題

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  • Current situation and issues of the air conditioning system and </b><b>sanitation management in facilities for the elderly
  • ケンチク セツビ ト エイセイ カンリ ノ ゲンジョウ ト カダイ

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抄録

近年急速に高齢化が進んで超高齢社会に突入したわが国では,急増した高齢者を迎え入れる福祉介護施設の需要が急増している[1].一方,感染や健康影響を受けやすい高齢者の生活の質を保つには,居住環境を支える,質の高い建築構造と空調設備の運用・管理が不可欠である.<br>多数の利用者・居住者の用に供される建築物の保健衛生に関しては,かねてから建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)が,室内環境の測定・報告や管理基準の遵守などを規定している.しかし,同法はポピュレーション戦略に則った施策であり,高齢者施設には適用されない.<br>施設側の建築物衛生或いは建築設備管理に関する認識・情報の不足が懸念されるところだが,その実態は明らかでない[2].<br>筆者らは,2012年の東京都内の社会福祉施設を対象とした質問紙調査を皮切りに,2013年には国内の特別養護老人ホームを対象に質問紙による全国的横断調査,2014~2016年には神奈川,宮城県・北海道の特別養護老人ホームにおいて室内環境測定を行い,室内熱空気環境形成の機序解明と改善のための基礎情報を収集した[3-6].本論では,これら調査を通して得られた知見を概観し,わが国の高齢者施設が置かれている室内環境と設備管理の実態,保健衛生上の課題などについて検討を加え考察を行った.

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