BRONJの6例

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抄録

現在当科で経過観察中の,ビスフォスフォネート製剤<BR> (以下BPS)由来の顎骨壊死であるBRONJ の6例につ<BR> いて報告する。BPS は,悪性腫瘍に伴う高カルシウム血<BR> 症や多発性骨髄腫による骨病変,乳癌,前立腺癌などの溶<BR> 骨性骨病変の予防や治療,癌治療により誘発される骨量減<BR> 少の改善など臨床的有用性の高い薬剤として知られる。<BR> BPS 投与患者の骨壊死の発生頻度は,0.8~12%であり,<BR> 発症はゾレドロン酸やパミドロン酸などの静注薬が高かっ<BR> たとの報告がある。今回の現疾患の内訳は,癌3例,骨粗<BR> 鬆症3例で,性別は,全員女性,平均年齢は,65歳であっ<BR> た。BPS の投与形態では,骨粗鬆症の2例がアレンドロ<BR> ン酸内服投与,1例がリセドロン酸内服投与,癌の3例が<BR> 転移を示す進行癌であり抗がん剤と併用してゾレドロン酸<BR> の静脈内投与であった。BPS の経口薬を投与されている<BR> 骨粗鬆症患者は発症頻度が0.01~0.04%であるのにたい<BR> し,静注薬を投与されている骨悪性病変患者では,発症頻<BR> 度が0.88~1.15%と高く,さらに抜歯が行われた場合発生<BR> 頻度は,10倍に増加すると言われている。今回は,義歯由<BR> 来の1例を除く6例中5例が抜歯後の治癒不全として発症<BR> していた。症状は,疼痛と感染を伴う持続性の骨露出,顎<BR> が重い感じやしびれ,歯肉腫脹,排膿,歯の動揺であっ<BR> た。臨床病期は,6例がstage2(AAOMS:臨床診断基<BR> 準,2007)の疼痛と感染を伴う骨露出,骨壊死であった。<BR> 発症後の対応として,BPS 投与中止に加え広域抗菌薬の<BR> 経口および経静脈内投与,6例中4例に壊死骨の表層的除<BR> 去と伴に1回2気圧,計10回の高気圧酸素療法を併用し<BR> た。処置後症状軽快と伴に,マクロライド系抗菌剤の長期<BR> 投与を行うことで,ある程度安定した状態で症状固定が得<BR> られるものの定期的に画像による経過観察では,腐骨形成<BR> 部の分離(骨柩形成)が見られず病態は遷延化する傾向に<BR> あった。<BR>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205517402112
  • NII論文ID
    130006944019
  • DOI
    10.14879/nnigss.58.0.438.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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