Aspergillus udagawaeによる猫の鼻腔内アスペルギルス症の一例

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抄録

今回、初めて猫の鼻腔内アスペルギルス症からAspergillus udagawaseが分離されたので報告する。症例はアメリカンショートヘアー、1歳11カ月齢、避妊雌。 主訴は3カ月前から左眼球の突出、涙流、鼻汁排泄であった。頭部のCTスキャンで左眼窩に軟性の腫瘤が認められた。そこで左眼球および眼窩内腫瘤の摘出を行った。腫瘤には、多数の分枝している菌糸を取り囲むように肉芽腫が認められた。また血清中のアスペルギルス抗原が陽性であった。腫瘤の一部をサブローブドウ糖寒天培地上で培養したところ、白色から緑色の多数の絨毛状の集落が認められたため、アスペルギルス症と診断した。アンフォテリシンB(AMB)、イトラコナゾール(ITZ)、ミカファンギン(MCF)を投与したが、改善せずに9週間後に死亡した。 本分離株からDNAを抽出し、PCR法にてITS領域およびβ-tubulin遺伝子を増幅し、ダイレクトシークエンス法にて塩基配列を決定した。本菌のITS 領域の塩基配列は A. udagawaeおよびNeosartorya fischeriと100 % で、A. fumigatusとは 98%以下 の相同性が認められた。一方、β-tubulin 遺伝子では、A. udagawaeと100%の相同性が認められた。以上の結果から本菌をA. udagawaeと同定した。さらに薬剤感受性についてE-test法で調べたところ、AMBには>32mg/mlと耐性が認められた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680501448448
  • NII論文ID
    130006948908
  • DOI
    10.11534/jsmm.52.0.83.0
  • ISSN
    09164804
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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