接触センサとフットスイッチによる踵接地タイミングの比較

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抄録

【目的】<BR>踵接地の検出は歩行解析を行う上で必要不可欠であり,その検出にはフットスイッチを使用することが多い.フットスイッチはある圧力が加わったことにより踵接地のタイミングを検出するため,装着位置により計測データがばらつく可能性がある.我々は足底に導電性の布を装着し,導電性の素材を貼付したトレッドミルとの接触を感知することで踵接地タイミングを検出するシステムを開発した.本研究は高速度カメラ,従来のフットスイッチ,開発した接触センサを同時に用いて踵接地のタイミングを計測し,フットスイッチと接触センサの精度を比較した.<BR>【方法】<BR>健常成人7名(25.1±4.1歳)を対象とした.被験者は75 m/minに設定したトレッドミル上を歩行した.踵接地タイミングの計測には高速度カメラ(200 frames/s),接触センサ(Sampling: 1 kHz),フットスイッチ(踵に1 cm間隔で2か所に貼付,Sampling: 1 kHz)を用いた.20歩分の右踵接地タイミングを分析対象とし,高速度カメラをコマ送りして目視で接地タイミングを検出した.カメラで得られたタイミングと,接触センサ・踵後部フットスイッチ・踵前部フットスイッチの検出タイミングの差について7名の平均値と標準偏差(SD)を算出した.平均値,SDに対して3群間でWilcoxon signed-rank testにより差を検定した.<BR>【結果】<BR>高速度カメラで得られた踵接地タイミングとの差の平均値について,3群間すべてで有意差があり,接触センサ,踵後部,踵前部の順に差が小さく,いずれも高速度カメラより接地タイミングが遅かった.SDは踵前部フットスイッチが接触センサよりも有意に大きかった(いずれもBonferroni corrected p<.05).<BR>【考察】<BR>接触センサと高速度カメラとの検出タイミングの差が最も小さかったことより,接触センサはフットスイッチより正確に踵接地を計測できることが示された.また,フットスイッチの貼付位置により踵接地タイミングがずれ得ることが示された.踵接地時に足関節は背屈位であり踵後部から前方へ順に接地していくため,フットスイッチの検出タイミングに差が生じたと考えられる.Initial contactが踵接地でないまたは一定しない脳卒中片麻痺患者などの歩行を分析する際,フットスイッチでは踵接地タイミングを正確に計測できない場合が生じる可能性が考えられる.<BR>【まとめ】<BR>本研究結果より,フットスイッチは貼付位置や異常歩行により踵接地タイミングを正確に計測できない可能性があり,接触センサはより正確に踵接地を計測できることが示された.今後,測定条件や対象者を変えて,接触センサとフットスイッチの検出タイミングについて検討していきたい.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205527686528
  • NII論文ID
    130006950541
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.30.0.101.0
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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