高校生のケア行動を規定する要因

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タイトル別名
  • Factors influencing high school student's caring

抄録

目的 現在、増え続ける子どもや高齢者のケア問題を背景として、子ども期にケアを学ぶ生活や教育の意義が世界的に再評価されつつある。日本家庭科教育学会の『家庭生活についての全国調査』(2004)から、「家庭科学習の効果」の見られる児童・生徒ほど「子どもの遊び相手」をし、「お年寄りや体の不自由な人の手助け」を「もっとすすんでできるようになりたい」ことが明らかにされた。本研究は、高校生のケア行動の先行要因として家庭科に注目し、家庭生活、地域生活、個人の資質といった要因と同時に検討することにより、子どものケア行動を促進する教育の在り方について検討することを目的とする。<BR>方法 使用するデータは、お茶の水女子大学JELS2006調査である。2006年9月~11月に関東地方Aエリアの公立高校10校の高校3年生を対象に実施し、1935名のデータが得られた(有効回収率88.3%)。説明変数を家庭科、家庭生活、地域生活、個人の資質、従属変数を高校生のケア行動とする重回帰分析を行った。<BR>結果 本研究の説明モデルにおいて、高校生のケア行動を最も強く規定した要因は、家庭生活における「家事頻度」であった。家庭科の「教科意義の認知」も規定力が有意であった。他に、地域生活での「近所の人へのあいさつ」、個人の資質として「学校で新しい友達を作るのは簡単だ」、「他の人と一緒に作業をすることが上手だ」といった「人間関係」能力も規定力が有意であった。以上の結果から、家庭科教育は、保育や介護といった直接的なケアの学習でなくとも、実習を通した生徒の協働学習や、地域の文化を学び生活に生かすという教科の本質的な学びを通して、総合的に生徒のケア行動を促進する可能性が示された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205557359488
  • NII論文ID
    130006955516
  • DOI
    10.11428/kasei.61.0.77.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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