経椎体前方除圧術を行った第2/3胸椎椎間板ヘルニアの1例

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抄録

【目的】経椎体前方除圧術を施行した第2/3胸椎椎間板ヘルニアの症例を経験したので報告する。 【症例】51歳、男性。背部痛、両下肢の脱力、排尿障害を主訴に受診した。初診時、胸髄レベルの脊髄症状のため歩行不能であり、また膀胱直腸障害のため導尿を要した。MRIではT2/3椎間板高位、脊柱管内に正中に大きく脱出したヘルニア塊を認め、前方より硬膜管を圧排していた。手術は仰臥位で行い、頚椎前方アプローチを下方に延長し、胸骨を縦割せず、C6/7からT2椎体高位まで展開した。顕微鏡視下にT2椎体前上縁からT2/3椎間板脱出部に向かって斜めに約10mmの骨溝を作成した。T2/3椎間板高位で後縦靭帯は一部断裂し、ヘルニア塊は硬膜外腔に脱出していた。このため後縦靭帯を切除し、脱出したヘルニア塊を摘出した。術後症状は改善し、軽度のしびれ以外の神経症状を認めていない。 【考察】T2/3胸椎の前方病変へのアプローチは胸骨柄縦割による前方進入法や開胸による前側方進入法が報告されている。前方進入法は胸骨縦割による侵襲の大きさや縦隔内操作が問題となる。また、開胸による前側方侵入法も上肢、肩甲帯が障害となり、第3胸椎より頭側の操作は難しい。本症例では頚椎で報告されている経椎体前方除圧術を応用した。本法は正中ヘルニアを前方、正面から除圧可能である前方進入の利点を有し、また胸骨柄縦割が不要であり、安全に、低侵襲に手術を行うことが可能であった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205562212352
  • NII論文ID
    130006959160
  • DOI
    10.11359/cjaost.105.0.98.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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