ハマダラカ成虫の唾液腺におけるキサンツレン酸含量とマラリア伝播効率

DOI
  • 松岡 裕之
    自治医科大学 医学部 感染・免疫学講座 医動物学部門
  • 平井 誠
    自治医科大学 医学部 感染・免疫学講座 医動物学部門
  • 服部 隆太
    自治医科大学 医学部 感染・免疫学講座 医動物学部門
  • 笠原 優一
    自治医科大学 医学部 感染・免疫学講座 医動物学部門
  • 吉田 元
    自治医科大学 医学部 感染・免疫学講座 医動物学部門
  • 新井 明治
    自治医科大学 医学部 感染・免疫学講座 医動物学部門

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between the contents of xanthurenic acid in the salivary gland and transmission ability of malaria in anopheline mosquitoes

抄録

マラリア原虫の生殖体形成は,ヒトからハマダラカへの伝播の最初の段階であり,トリプトファンの代謝産物であるキサンツレン酸 (XA) によって誘導される。我々はこれまでにHPLC-ECD分析により,ハマダラカの組織に含まれる微量のXAを定量する手法を確立し,ハマダラカの唾液腺には他臓器に比べXAが多く含まれていることを報告している。さらに唾液腺XAは,吸血に伴って約半分に減少することも観察している。今回我々はハマダラカの幼虫・蛹・成虫におけるXAの含有量を測定し,加えて羽化後の雌成虫唾液腺におけるXAの含有量を経時的に追跡した。その結果唾液腺XAは,羽化直後が最も多くに含有されており48時間後には約半分に減少してしまうこと,さらに羽化後7日目以降には羽化直後の4分の1にまで減少してしまうことを見いだした。このことは羽化後の日数によりマラリアの伝播性に差が出ることを想定させた。そこで羽化後の日数の異なる雌蚊群に,同一マラリア感染マウスを吸血させたところ,羽化後の日数が少ない群ほど蚊の中腸に寄生するオオシスト数は多くなることが認められた。すなわち唾液腺に含まれるXA量が多いほどオオシスト形成数が多いという結果となった。ハマダラカにおいて今後,唾液腺に含まれるXAを少なくすることで,マラリア伝播効率を下げることができるのではないかと考えている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205621628032
  • NII論文ID
    130006981646
  • DOI
    10.11536/jsmez.58.0.31.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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