CPT-11 投与による小腸上皮細胞での Na<sup>+</sup> 依存性中性塩基性アミノ酸トランスポーター ATB<sup>0,+</sup> の発現誘導

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抄録

【目的】塩酸イリノテカン(CPT-11)は、強力な抗腫瘍活性を発現する一方で、重篤な副作用である遅延性下痢が dose-limiting factor となることも知られており、この点が CPT-11 を用いた癌化学療法において解決されるべき課題とされている。本研究では、CPT-11 による遅延性下痢発症時の腸管粘膜機能の変化を消化管上皮細胞に存在する transporter 群の発現変動を指標として検討した。<BR>【方法】Wistar 系雄性ラット (140-160g) に CPT-11 を 60mg/kg/day で 4 日間静脈内投与し下痢の発生を確認後、実験に供した。下痢を誘発させたラット腸管を十二指腸・空腸・回腸・結腸の4つの部位に分け、それぞれの粘膜部位より total RNA を抽出し、目的とする遺伝子に対して特異的なプライマーを用いて半定量的 RT-PCR を行った。アミノ酸 transporter の機能面に関する検討は、Na+ 含有もしくは非含有取り込み buffer を用いて [3H]arginine の取り込みをラット摘出腸管を用いた反転腸管法により行った。<BR>【結果・考察】CPT-11 をラットに連続投与することにより、十二指腸や空腸部における mrp1 の mRNA の発現量に有意な増大が認められたが、mdr1a mRNA の発現には変化が認められなかった。また、PEPT1 や mrp2 mRNA の発現にも有意な減少が認められた。さらに、消化管下部に主として発現が認められる Na+ 依存性中性塩基性アミノ酸 transporter ATB0,+ mRNA が CPT-11 投与により小腸においても強く誘導されることが示され、これはラット小腸反転腸管法を用いた [3H]arginine の Na+ 依存的な取り込み結果ともよく対応していた。また、CPT-11 投与により COX-2、iNOS、TNF-α mRNA も強く誘導されていることも明らかとなり、現在、ATB0,+ 発現と炎症に関与する因子との関係についてさらに検討を進めている。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680600996480
  • NII論文ID
    130006984517
  • DOI
    10.14896/jssxmeeting.18.0.82.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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