パラアミノ安息香酸併用による5-アミノサリチル酸の代謝抑制と大腸組織内量の増大

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抄録

【目的】 近年、増加傾向にある炎症性腸疾患 (IBD) の治療薬として5-アミノサリチル酸 (5-ASA) 製剤が広く用いられている。その作用機構は粘膜組織に対する直接的な作用であるために粘膜組織内の5-ASA濃度の維持が重要であることが知られている。しかし、5-ASAの大部分は炎症部位である大腸には到達せずに小腸で吸収されてしまい、大腸に到達した5-ASAの大部分は組織内でN-acetyltransferase (NAT-1) により不活性型のAc-5-ASAに代謝されるために薬理効果が減弱する可能性がある。<BR>そこで、本研究では5-ASAの代謝阻害剤としてNAT-1の基質であるパラアミノ安息香酸(PABA) を用い、大腸組織内の未変化体5-ASA量を増大させることを試みた。<BR>【実験方法】 in vitro反転腸管法:Wistar系雄性ラット (250_から_300g) を一晩絶食後、pentobarbital麻酔下大腸を摘出し、長さ2.5cmのSacを形成した。これをHEPES-Tris buffer (pH7.4) 中で3分間プレインキュベート後、5-ASA又は5-ASA及びPABAを含むHEPES-Tris buffer (pH7.4) 中で95%O2-5%CO2混合ガス供給下、インキュベートした。一定時間後、粘膜側、組織内、漿膜側の5-ASA及びAc-5-ASAをHPLCにより測定した。<BR>【結果・考察】 5-ASA及びAc-5-ASAの取り込み、代謝、排出を速度論的パラメーターを用いて検討したところ、PABAの併用により5-ASAの代謝過程であるアセチル化が阻害され、粘膜側、組織内、漿膜側の5-ASA量の増大、Ac-5-ASA量の減少が確認された。これらの結果より、5-ASAにPABAを併用することにより治療効果が改善される可能性が示唆された。

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  • CRID
    1390282680601922944
  • NII論文ID
    130006985398
  • DOI
    10.14896/jssxmeeting.18.0.243.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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