cDNAマイクロアレイを用いたカイコ初期胚における性特異的な遺伝子発現の解析

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タイトル別名
  • Sex-specific gene expression in early embryo of Bombyx mori, revealed by cDNA microarray

抄録

カイコの性決定に深く関与すると考えられているBmdsx遺伝子は、即時浸酸後約60時間の胚子において、初めて性特異的なmRNAを発現する。また、Bmdsx遺伝子の性特異的なスプライシングはW染色体の存否に依存している(大林ら、未発表)。したがって、W染色体によるBmdsx遺伝子の調節は、受精から80時間の間に開始しているはずである。本研究では初期胚において性特異的に現れるRNAを網羅的に探索することによって、Bmdsxの調節機構の一端を解明しようと考えた。限性黒卵系統の休眠予定卵の産下後36時間の黒卵(雌)および白卵(雄)から、それぞれからpoly(A)+RNAを抽出し、逆転写およびCy3/Cy5による蛍光標識を施した。標識されたmRNAを、カイコの6000個のcDNAを搭載したマイクロアレイ(大手ら、昨年の蚕糸学会大会)とハイブリダイゼーションさせた。蛍光強度からmRNA量に雌雄差があると判断された2種類の遺伝子についてノーザン解析を行ったところ、そのうちの1遺伝子で雄が雌の約10倍のmRNAを発現していた。このcDNAの塩基配列は、ショウジョウバエでシャペロンの一種をコードする遺伝子l(2)eflと相同性を示した。Bmdsxの性特異的mRNAの発現には、雄特異的なスプライシング抑制因子が必要である(Suzuki et al., 2001)ので、このl(2)efl様遺伝子の産物は、雄型Bmdsx mRNAの形成に何らかの形で関与している可能性がある。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680605324032
  • NII論文ID
    130006989006
  • DOI
    10.11416/jsss.jsss72.0.57.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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