アントシアニン以外を主要色素とする花色の色素成分と発現の機構

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Flower Colors due to Other Pigments except for Anthocyanins

抄録

野生植物および園芸植物の大多数の花色はアントシアニンとカロテノイドのどちらか、あるいはその両方によって発現している。その一方で、少数ではあるがそのどちらにもよらない花の色もまた存在する。その代表的な色素がベタレインで、マツバボタン、サボテン、ケイトウ、マツバギクなどナデシコ科とザクロソウ科を除くナデシコ目の9科に属する植物がこれに相当する。これらの赤紫の花はベタシアニンに、黄色はベタキサンチンに、その中間色は両者の共存によって発現している。フラボノイドのカルコンやオーロンもカーネーション、コスモス、トサミズキ、キンギョソウなどで黄色系の花色に貢献している。ゴシペチンなどの6-あるいは8-位に水酸基が置換されているフラボノールもまた、ヤグルマギク属やフヨウ属の黄色花では重要な役割を果たしている。また一方で、クェルセチンのような一般的なフラボノールもまたクレマチスなどの淡黄色花では多量に存在する場合、色素として機能していることが報告されている。最近、ツバキ科のキンカチャの濃黄色花が一般的なフラボノールとアルミニウムが錯体を形成することによって発現していることが明らかとなった。アロエとその近縁属も黄~橙色の花をつけるものが多いが、これらもアントシアニンではなく、アントラキノン系の色素によって発現していると推定されている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680609011584
  • NII論文ID
    130006993923
  • DOI
    10.14841/jspp.2010.0.s0012.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ