光化学系IIのquality control:光・熱ストレスやチラコイド膜での存在場所に依存するFtsHプロテアーゼのサブユニット構造

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Quality control of Photosystem II: FtsH proteases show a variety of subunit structures depending on their location in thylakoids and the presence of light- or moderate heat- stress

抄録

光合成光化学系IIの反応中心結合タンパク質D1は、光や熱ストレス下で酸化的ダメージを受ける。損傷D1タンパク質の分解には、チラコイド膜に存在する金属プロテアーゼFtsHが関与していることが示唆されている (Yoshioka et al. 2006)。本研究では、ホウレンソウチラコイド膜におけるFtsHプロテアーゼの分布とサブユニット構造について解析した。クリアネイティブPAGEでチラコイド膜におけるFtsHオリゴマーの存在比を調べると、単量体:二量体:六量体=1.5:1:2であった。これに対して、PSII膜では、六量体FtsHのみが存在していた。六量体FtsHは、2タイプのサブユニットから形成されていて、その構成比は、タイプA (FtsH1/5):タイプB (FtsH2/8)=1:2である。タイプAの抗体(DS9)とタイプBの抗体(VAR2)を用いたウエスタン分析を行ったところ、単量体で存在するFtsHはタイプBのみで、二量体と六量体は、タイプAとタイプBの両方から構成されていた。強光や熱に対するFtsHオリゴマーの安定性の実験では、単量体や二量体が消失する一方で、六量体FtsHはストレスに対して構造を維持していた。これらの結果から、活性型でストレス耐性を持つ六量体FtsHプロテアーゼは、光化学系IIの近傍に存在し、損傷D1タンパク質の速やかな分解に関与していることが示唆される。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205633165312
  • NII論文ID
    130006995207
  • DOI
    10.14841/jspp.2010.0.0431.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ