筑波医学実験用霊長類センター(TPC)カニクイザル繁殖コロニーにおけるEBV、CMV、SFVの感染状況調査とSPF化に関する研究

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タイトル別名
  • EBV, CMV and SFV infections in the cynomolgus monkey colony of Tsukuba Primate Center: A attempt to establish SPF colony

抄録

(目的)ヘルペスウイルスに属するサルEBV、サルCMV、レトロウイルスに属するSFVは、持続感染するため、コロニー内での感染率が高く、未感染ザルを得るのが難しい。EBVは腫瘍形成及び節外性リンパ増殖に関連し、CMVは免疫抑制を伴う実験中の日和見感染、SFVについてはサル由来組織培養への迷入等が問題となる。今回TPCコロニーについてこれらのウイルスの感染状況を調査し、SPF化の検討をした。<BR>(方法)繁殖コロニーの4~7カ月齢12頭、1歳齢23頭、3歳~22歳齢79頭、そして1994年から選抜と隔離飼育方式により確立したSRV/D-SPF群の56頭について、IFAまたはELISA法を用いて抗体調査をした。<BR>(結果) (1) 繁殖コロニーの感染状況EBVの抗体陽性率は、離乳仔ザルでは約25%であったが、加齢と共に上昇し10歳齢では100%であった。CMV抗体陽性サルは1歳齢と、3歳齢で各1頭検出された。SFVは3歳齢での陽性率は10%以下であったが、加齢に伴い陽性率は上昇し、10歳以降は約80%が抗体陽性であった。(2) SRV/D‐SPF群の感染状況CMVは全頭抗体陰性であった。SRV/D-SPF群のうち、母ザル哺育の後離乳したサルでは、EBVとSFVの感染率は繁殖コロニーと同様であった。一方、出生直後から人工哺育されたサルでは、EBVとSFVの抗体陽性率はそれぞれ19%と4.8%であった。<BR>(考察)今回の調査で、繁殖コロニーではCMVは感染率が極めて低いが、EBV、SFVについては、未感染ザルの確保は難しいことが明らかとなった。SRV/D‐SPF群では、人工哺育ザルでのEBV、SFVは伴に感染率が低いことが明らかとなった。TPCでは、人工哺育とSRV/D-SPF群で採用してきた飼育方式を組み合わせることにより、これらのウイルスについてもSPF化が可能であると判断した。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205634051328
  • NII論文ID
    130006996232
  • DOI
    10.14907/primate.20.0.129.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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