アトピー性皮膚炎モデルNC/Ngaマウスの病態発症・進行機構に関わるタンパク質の探索

DOI
  • 由木 大
    東京農工大学農学府応用生命化学専攻構造生化学研究室
  • 田原 俊介
    東京農工大学農学府応用生命化学専攻構造生化学研究室
  • 藤間 武志
    東京農工大学農学府応用生命化学専攻構造生化学研究室
  • 柳田 光昭
    順天堂大学大学院医学研究科
  • 田中 あかね
    東京農工大学農学府獣医学科分子病態治療学研究室
  • 松田 浩珍
    東京農工大学農学府獣医学科分子病態治療学研究室
  • 高橋 信弘
    東京農工大学農学府応用生命化学専攻構造生化学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Proteomic Serching for the Proteins Related to Development of Atopic Dermatitis Like Skin Lesions of NC/Nga Mice

抄録

アトピー性皮膚炎 (AD)は強いかゆみを伴った慢性的な皮膚湿疹をおこすアレルギー性疾患である。近年、AD患者が急速に増加し、その解明および治療法の確立が求められているが、この疾患には遺伝的・環境的な多くの因子が複雑に絡み、疾患の発症原因や病態進行の詳細なメカニズムはまだ不明である。NC/Ngaマウスは自然環境下で8週齢頃からヒトADに類似の皮膚炎を自然発症するが、specific pathogen free(SPF)環境下では発症しない。このような特徴及び他の特徴から、NC/NgaマウスはADのモデル動物として確立されてきている。我々はADの病態発症・進行機構を調べるために、NC/Ngaマウスの頸部リンパ節が病態発症とともに肥大化することに注目し、発症前後の発現プロテオームを二次元電気泳動によって比較した。その結果、58個のタンパク質スポットに変動を確認し、そのうち17個のスポットをPMF法によって同定した。同定タンパク質の中で、小胞体局在のタンパク質であるBiPとgp96は複数のスポットで同定され、発症に伴って分解物が増加していることが示唆された。さらにこの分解物の切断部位をMALDI-TOF MSで得られたペプチド断片とスポットの等電点、分子量から推測したところ、どちらのタンパク質もC末端側に持つ小胞体残留シグナルが切断されていることが予測され、この切断によってBip, gp96が細胞外に分泌されている可能性が示唆された。<BR>最近、gp96の属するheat shock protein familyは細胞外での免疫学的な機能が報告され、gp96についても細胞障害性T細胞の活性化、抗原提示細胞のサイトカイン産生上昇、抗原ペプチドの再提示などの役割を持つことが明らかになった。そこで病態発症に伴ってBiP, gp96が細胞外に分泌され、NC/Ngaマウスの免疫機構に何らかの影響を与えている可能性について検討した。NC/Ngaマウス頸部リンパ節細胞表面での局在と存在量をフローサイトメトリーによって調べたところ、予想外に病態発症に伴って減少していることがわかった。本発表では、これらの結果及び他の結果から、少なくともNC/Ngaマウスの病態進行に伴う頸部リンパ節でのBiP, gp96の発現及び動向の変化と病態に何らかの関連性について議論したい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680612523264
  • NII論文ID
    130006998373
  • DOI
    10.14889/jhupo.2006.0.17.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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