低線量率ガンマ線長期連続照射マウスの脾臓リンパ球における二動原体染色体異常頻度を指標とした低線量率域の線量率効果

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  • Dose-rate-effects at low dose rate region on frequencies of dicentric chromosome aberrations in splenic lymphocytes from mice continuously irradiated with low-dose rate gamma-rays

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抄録

目的:中線量率域での線量率効果についての報告はいくらかあるものの、低線量率放射線長期被ばく時に生じる染色体異常頻度の線量率効果関係は殆どわかっていない。本調査・研究では原子力施設作業者の作業環境レベルより幾分高い低線量率γ線長期照射をマウスに行い、二動原体染色体異常頻度と線量率との関係を調べた。材料と方法:C3Hメスマウスに8週齢(56 日齢)から低線量率[1 mGy/day, 20 mGy/day] を137Cs-γ線を最大617日間連続照射した。線量率の比較を行うために、中線量率(200 mGy/dayと 400 mGy/day)137Cs-γ線をそれぞれ40日間と20日間連続照射し、また高線量率(890 mGy/min)で高線量(3000 mGy)までの照射も行った。脾臓リンパ球の二動原体染色体異常はcentromere FISH法にて観察し、異常頻度と線量及び線量率との関係を調べるために年齢補正を加味した重回帰分析と2群間の差の検定を行った。結果と考察:_丸1_200 mGy/dayと400 mGy/dayの中線量率での異常頻度はほぼ同じであった。またこの中線量率域から低線量率の20 mGy/day,1 mGy/dayと低下するにつれ、染色体異常・線量効果曲線の1次項の値は低下し、異常頻度は有意に低下した。さらに1 mGy/day照射群と非照射群間でも異常頻度に有意な差が観察された。このことから今回観察対象とした低線量率域には正の線量率効果が存在することがわかった。_丸2_異常頻度と加齢との関係は認められなかった。_丸3_高線量率照射と低線量率(20 mGy/day)の値を比較して線量・線量率効果係数(DDREF)を求めると総線量が100 mGyにて4.5となった。なお別実験で得られた転座型異常頻度を指標とすると2.3となった。これらの成果は低線量放射線のリスク評価上重要である。本研究は、青森県からの委託事業により得られた成果の一部である。

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