ヒトの代謝活性の影響を考慮したマウス由来ES細胞による発生毒性試験について

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タイトル別名
  • Development of in vitro embrotoxicity test including the human metabolic factor using mouse ES cells

抄録

発生毒性スクリーニング試験法として歯科生体材料の影響を評価する場合に,ヒト代謝活性因子の影響は無視できない.そこで,歯科用金属組成元素のAg, Au, Cu, Pd, Ti, Znについて検討した.ヒトの肝機能を維持しながら長期間培養ができる市販のTEST LIVERTM (TOYOBO)で培養した培養液とマウスES-D3細胞培養液を混合し,ES-D3細胞を懸滴培養して得られるEmbryoid Bodies(以下,EBs)をType _I_-Aおよび_III_コラーゲン(新田ゼラチン)を用いて,1週間にわたり3次元培養し,EBsから分化した心筋の鼓動率をES-D3細胞培養液のみの条件と比較した.その結果,AgイオンでEBsの鼓動率が低下した,しかしCuならびにZnイオンでEBsの鼓動率はやや高くなった. またAu,Ti,Pd各イオンでは有意差が認められなかった.演者はすでに細胞毒性試験については,ラットのTEST LIVERTMを用いて代謝活性化した場合の細胞生存率は,代謝活性化しなかった場合よりも動物実験データとの相関性が高かったことを指摘してきた.しかし,代謝活性を導入する培養時間や実験方法自体に改良を加えることによって,さらに正確なデータが得られる可能性が高いものと考えられる.<br> In vitro発生毒性試験法としてEST(Embryonic Stem Cell Test)法などが知られているが,この方法は代謝活性が考慮されていないことが指摘されている.今回のヒトの代謝活性因子を導入した本試験法は,EST法のように欧州で広くバリデーションされた方法ではないが,スクリーニング試験として,従来法と比べて発生毒性についてのヒトへの予知性がさらに高められる可能性も考えられる.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680633824896
  • NII論文ID
    130007002641
  • DOI
    10.14869/toxp.36.0.3036.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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