Embryonic Stem Cell Test法への細胞分化障害からの回復因子導入の試み

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タイトル別名
  • An attempt to cell recovery factor in the cell differentiation culture with the embryonic stem cell test

抄録

【目的】In vitro発生毒性試験法であるEmbryonic Stem Cell Tes(t 以下EST)法は,すでに数多くの薬剤や生体材料などに用いられ,そ の信頼性はすでに明らかとなっている。一方,細胞回復度試験法は暴露が一過性である場合に組織の回復機序への影響も推定できる。 そこで,EST法で細胞回復度試験法の考え方の導入し試料暴露後に新鮮培養液に戻す培養で細胞分化への影響を調べた。<BR> 【材料と方法】ESTプロトコルのES-D3細胞およびBalb/c 3T3細胞を用いた。試験には含嗽や歯面塗布などに用いられるNaFならびに SnF2を培養液にそれぞれ溶解後に倍数希釈して各試験液とした。ES-D3細胞の分化は各試験液で細胞数を3.75×104cells/mLに調整 後,炭酸ガス恒温器内で3日間懸滴培養し,Embryoid Body(EB)を作製した。回復5日群は,試験液を用いて細菌培養用dishで2日間 静置培養し,その後,24wellのmulti-dishに球形細胞塊各1個を移し新鮮培養液にて5日間静置培養した。回復7日群ではEB作製後の 処理は新鮮培養液を用いた,逆に通法群では試験液のみを用いた。分化した心筋筋細胞の鼓動の有無からID50を求めた。一方,細胞 増殖抑制は両細胞を用いて各試験液で1×104cells/mLに調整後に2時間静置し,試験液を3日間静置培養した。ID50と同日程で試験液 と培養液を加えて静置培養しMTTからIC50を求めた。<BR> 【結果と考察】EST法の予測モデル式にID50ならびにIC50を代入した結果,NaF,SnF2ともに従来の通法群では“weak embryotoxic” であったが,回復5日群と7日群では,NaFは“Non embryotoxic”であった。他方,SnF2では“weak embryotoxic”であった。<BR>  一時的な化学物質の暴露による傷害も,時間経過とともに新しい環境下で回復機序がはたらく可能性が大きい。しかし,回復機序に 与える影響が大きな化学物質については,たとえ従来のEST法によって同じ強さの細胞分化への障害性があっても,ヒトの健康に与え る影響は極めて大きくなるものと考えられる。今後,反復された暴露条件などについてもさらに同様の実験を試みたいと考える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205658251648
  • NII論文ID
    130007003330
  • DOI
    10.14869/toxp.37.0.402.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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