踵殿テストにおける筋肉・関節機能の関与

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抄録

【はじめに】踵殿テストは踵殿間距離や膝関節屈曲角度、骨盤の挙上の有無の評価から、大腿直筋の短縮、大腿四頭筋の短縮、腰椎椎間関節の損傷、神経根病変、仙腸関節病変を示唆するものである。しかし、病態生理を理解するための統一した評価方法を明記した文献は渉猟した範囲では見当たらなかった。今回、踵殿テスト時の体幹・下肢の動きに関与する筋肉機能・関節機能を評価し、病態生理を明確にする踵殿テストの方法について検討する。<BR>【方法】対象は当院整形外科を受診し、踵殿テスト時に踵と殿部が接触しなかった60歳男性であった。方法は踵殿テスト時に尻上がり現象が出現した時点の膝関節屈曲角度を計測した。1筋肉機能の評価。1a大腰筋、1b大腿直筋の2通りに伸縮性テープを貼付後、それぞれの膝関節屈曲角度を計測した。2関節機能の評価。2a徒手的に腰椎を前彎位、2b徒手的に腸骨を前傾位、2c徒手的に仙骨ニューテーションさせた腸骨後傾位の3通りで、それぞれの膝関節屈曲角度を計測した。<BR>【症例供覧】1診時では、踵殿テスト時に右膝関節屈曲80°、左膝関節屈曲90°で尻上がり現象が出現した。1aでは、右膝関節屈曲90°、左膝関節屈曲90°であった。1bでは、右膝関節屈曲90°、左膝関節屈曲90°であった。2aでは、右膝関節屈曲、左膝関節屈曲角度が増加した。2bでは、右膝関節屈曲、左膝関節屈曲角度は変化しなかった。2cでは、右膝関節屈曲、左膝関節屈曲角度が増加した。<BR>【考察・結語】本症例では、筋肉機能の評価では膝関節屈曲角度に変化はなかった。 関節機能の評価では膝関節屈曲角度が改善した。踵殿テスト時に腰椎や仙腸関節を徒手的に操作することで、踵殿間距離や膝関節屈曲角度、骨盤の挙上の有無の評価だけでは理解しにくい病態生理学的理解が可能と考える。

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