自己組織化マップを用いた‘Geo-business-graphics’の構築

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タイトル別名
  • Building 'Geo-business-graphics' using Self-Organizing-Mapping
  • A new small area classification of businesses
  • ビジネスの小地域地区分類

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抄録

I はじめに 本研究では「どのようなビジネスがどの地区で営まれているのか」という問いに答える事業所特性の小地域地区類型‘Geo-business-graphics’の構築と分析を検討した.このGeo-business-graphicsは,「どのような人々がどの地区に住んでいるか」という問いに答えるために設定されたGeodemographicsの新しい方向性を模索するものでもある. 具体的には,2001年の事業所・企業統計の全調査区を対象として,産業中分類や開設時期,事業所形態などの事業所特性に基づき,ニューラル・ネットワークの一つである自己組織化マップ(SOM)を利用した地区分類を行ない,その利用可能性について検討した.II 自己組織化マップ SOMとは,コホーネンが提案した教師なし学習ネットワークであり,脳の自己組織化能力をモデル化したものである.SOMに入力されたデータは,データから抽出したサンプルに基づく学習の繰り返しにより,2次元の地図(map)上に配置された出力素子に分類される.値の分布がよく似た変数同士では,各出力素子のもつ値も近くなり,そのデータのもつ冗長性が自動的に判断されている.これは,従来の社会地区分析において,因子分析や主成分分析とクラスター分析によってなされていた処理が同時に処理されていることを意味する.III 条件の設定と分類結果 SOMに関しては,出力素子を5行5列とし,初期の重みはランダムに設定した.変数には,調査区別集計データから78変数を作成し,調査区内の全事業所数に占める割合を算出したものを標準化した値を用いた.2001年における調査区は,全国で247,828調査区ある. SOMによる分類の結果,全国の調査区は20類型に分類された.SOMにより出力される素子数は25であるが,全体に占める割合が1%に満たない類型は別の類型に統合しているため20類型となっている.図1は,大阪市中之島地区周辺における類型の分布である. 事業所特性に基づいて地区分類を行なうことで,事業所分布の空間構造の把握が比較的容易となる.また,類型ごとの集積度の計測や隣接する類型の組み合わせのパターンなどを把握することで,小地域からみた「ビジネスの空間構造」を検討できることになる.さらに,ジオデモグラフィクスと組み合わせることで,居住地ベース・従業地ベース両面からみた地区類型・地域分析も可能となる. 本研究は,東京大学空間情報科学研究センターの研究用空間データ利用を伴う共同研究による成果である.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680669170432
  • NII論文ID
    10020532693
  • NII書誌ID
    AA1115859X
  • DOI
    10.14866/ajg.2006s.0.141.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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