ダウンサイジングにともなう中心市街地活性化区域内における人口・経済状況の地理学的分析
書誌事項
- タイトル別名
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- Geographical Change of Population and Economic Situation in the City Center District under the Act on Vitalization in City Center by downsizing
抄録
1. はじめに <br> 1998年に施行された中心市街地活性化法は,2006年と2014年の改正を経て,現在に至っている。この法律に対する地理学的な関心の一つとして,「中心市街地」の地理的範囲とその特徴が挙げられる。自治体は認定を受けるにあたり,事業などを行う「中心市街地(以下,中心市街地活性化区域/活性化区域)」の位置および区域を設定する必要がある。しかしながら,区域の規模や設定に関する方法についての定量的な指針などは公表されていない。さらに近年,「コンパクトシティ」や「まちなか居住」などが標題として挙げられるなかで,その区域を拡大するか縮小するかについてはそれぞれの自治体に委ねられている。<br> そこで本発表では,中心市街地活性化区域の設定変更,特にダウンサイジングに焦点をあて,その人口・経済状況を地理学的視点から検討することにした。<br><br>2. 中心市街地活性化区域のダウンサイジング状況<br> 発表者らは,地方都市を対象として未利用不動産の状況に関するアンケートを行った(箸本ほか2014)。回答のあった553自治体のうち,中心市街地のダウンサイジング状況について回答がなされた538自治体についてみると,①「実施」が20(3.7%),②「現在,都市計画など具体的な計画を策定中」が14(2.6%),③「検討しているが,計画の具体化に至っていない」が40(7.4%),④「検討したが取りやめた」が2(0.4%),⑤「検討したことはない」が438(81.4%),⑥「その他」が24(4.5%)であった。このことから,現時点では中心市街地活性化区域のダウンサイジングについてはさほど進んでいないことが把握できる。<br><br>3. ダウンサイジングによる人口・経済状況の変化<br> ダウンサイジングによる中心市街地活性化区域内における人口・経済状況の変化を把握するにあたり,ここでは新潟市(2010年人口:81.2万),岐阜市(41.3万),山形市(17.8万)をとりあげる。いずれも旧中心市街地活性化法に基づく活性化区域のダウンサイジングを行った県庁所在都市である。GISを用いて新旧活性化区域内の人口を算出し,2000年と2010年の比較を行った(表1)。いずれの都市においてもダウンサイジングの結果,活性化区域内人口の規模縮小が行われていた。しかしながらダウンサイジングしなかった場合の活性化区域内の人口密度をみると,新潟市と岐阜市はさほど変わらないが,山形市では新法活性化区域と比べて半分程度となっている。したがって,山形市では中心市街地活性区域のダウンサイジングが有効に機能していると判断できる。<br> このように,新旧中心市街地活性化区域における人口・経済状況を比較することで,ダウンサイジングの効果を定量的に把握可能である。発表当日は,他の人口・経済に関する指標に基づく空間分析の結果について報告する。<br> <br>本研究は,JSPS科学研究費(課題番号:25284170,代表者:箸本健二)による成果の一部である。<br><br>参考文献<br>箸本健二・武者忠彦・菊池慶之・久木元美琴・駒木伸比古・佐藤正志2014.地方都市の中心市街地における未利用不動産の地理学的分析―全国533自治体に対する調査から.日本地理学会発表要旨集254:87.
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2016s (0), 100163-, 2016
公益社団法人 日本地理学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205694709632
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- NII論文ID
- 130007017495
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可