精巣上体通過中のマウス精子における細胞滴遊離メカニズムの検討

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  • Examine cytoplasmic droplet isolation mechanism in the mouse sperm during epididymal transit

抄録

<p>【目的】精巣上体通過中に様々な機能性分子を取り込んだ精子は,膜融合プロセスを介して尾部に残存する細胞滴を遊離する。以前我々は,マウス精子が精巣上体通過により細胞滴へPantophysin(Pphn)を獲得することを明らかにした。他細胞では,PphnはSNARE複合体の構成因子であるVesicle-associated membrane protein(VAMP) 2と複合体を形成し,Ca2+依存性膜融合の制御に関与すると考えられている。今までの研究で,VAMP2および同じくSNARE複合体の構成因子であるVAMP3は,先体反応機構に関与することが指摘されているが,細胞滴における存在は不明である。本研究では,マウス精子において,VAMP2およびVAMP3の発現特性およびPphnとの関係性について調べ,さらに機能的役割を探った。【方法】実験①:ICRマウスの精巣上体尾部精子を免疫染色あるいは共免疫沈降に供し,VAMP2およびVAMP3の局在あるいは両者とPphnとの関係性を調べた。実験②:精巣上体頭部,体部および尾部精子において,VAMP2の発現量および細胞滴遊離率を調べた。実験③:0あるいは10 μM EGTA/AM処理した精子において,既報に従いショ糖密度勾配遠心分離法で細胞滴を除去後,PI染色により原形質膜の正常性を調べることで,膜融合率を求めた。【結果】実験①:VAMP2およびVAMP3は精子先体胞および尾部の細胞滴に局在した。共免疫沈降の結果,何れのタンパクもPphnと複合体を形成していることが分かった。実験②:精子におけるVAMP2発現量は精巣上体頭部から尾部にかけて低下した。一方,細胞滴遊離率は,精巣上体通過により増加した(P<0.05)。実験③:細胞滴除去後の膜融合率は細胞内Ca2+のキレートにより低下した(P<0.05)。以上の結果から, VAMP2およびVAMP3は細胞滴においてPphnと複合体を形成し,その遊離において重要な役割を果たす可能性が示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205715870080
  • NII論文ID
    130007024174
  • DOI
    10.14882/jrds.109.0_or1-13
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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