ノンコーディングRNAによる性ステロイド受容体遺伝子発現とげっ歯類脳機能制御

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タイトル別名
  • Functional alteration of rodent brain by noncoding RNA for nuclear sex steroid receptor genes

抄録

ほ乳類において、タンパクをコードするゲノム領域に発現するノンコーディングRNAは数万に上り、機能RNAの普遍的な重大さを示唆している。ところが、遺伝子発現制御域に発現するRNAについては、種間相同性も低く、機能解析まで系統的に試みる必要がある。これまで、脳で機能的であるSphk1遺伝子のプロモーター領域に内在性アンチセンスRNA、Khps1、を発見し、一本鎖RNAが配列特異的な脱メチル化に機能していることを報告した。本研究では、核内受容体である性ステロイド受容体遺伝子(AR・ERα・PR)のプロモーターに発現するアンチセンスRNA群の同定し、脳における機能解析を行った。AR・ERα・PR遺伝子座に発現するアンチセンスRNA群(ARas・ERαas・PRas)は、二本鎖で働くsiRNAなどとは異なり、コード遺伝子発現と正に相関しており、アンチセンスRNAはコード遺伝子の発現上昇に機能することが推測された。各遺伝子について、細胞株にアンチセンスRNAを一過性に強制発現させたところ、いずれも遺伝子特異的脱メチル化/mRNA発現上昇を誘導した。ARas・ERαasを全身性に強制発現するトランスジェニックマウス(ARas-Tg・ERαas-Tg)を作製したところ、同様に遺伝子特異的脱メチル化/mRNA発現上昇が認められた。サイズに性的二型性のある神経核について、正常成体のDNAメチル化性差は、ERαでは分界条床核がARでは腹内側核に認められ、いずれもメスで高メチル化状況にあった。ARas-Tgメスでは腹内側核がオス様に拡大していた。これらのTgメスには妊性があるが、いずれもメス型の性行動であるロードシスを殆どせず、特にARas-Tgメスについてはオス型の性行動であるマウンティング行動が頻繁に観察された。したがって、ERαas・ARasは個々のコード遺伝子の発現を介して構造的・機能的脳性分化に関与すると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680692930304
  • NII論文ID
    130007024708
  • DOI
    10.14882/jrds.103.0.46.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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