渓流魚イワナをめぐる交雑現象

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タイトル別名
  • Hybridization among salmonids in the Japanese mountain streams

抄録

<p>河川上流域に生息するイワナは、餌生物の供給をはじめ周囲の森林から多くの恵みを受けており森林生態系に欠かせない構成種でもある。しかし近年では、生息環境の破壊、外来種との交雑などにより、多くの水域で絶滅リスクが高まっている。この講演では、本州や北海道の冷水域に侵入したカワマス(北米原産)やブラウントラウト(欧州原産)と在来イワナとの交雑の事例、DNA分析で明らかになった交雑プロセスや群集動態について紹介する。交雑プロセスは核およびミトコンドリアDNAを分析することにより、その組み合わせや浸透性を推定することができる。分析の結果は、いずれの場合も、イワナが雌、外来マスが雄となる非対称な交雑であることが明らかとなり、イワナの繁殖阻害~個体数減少につながっていると推測された。これら交雑は世代が進むと繁殖力が低下する不稔性交雑とされ、イワナを保全しようとすれば外来種や交雑個体を除去し続けることで在来集団を取り戻せるだろう。他方で、イワナは水域ごとに異なった遺伝特性を有していることが知られるが、非在来系統の種苗放流による遺伝的・生態的な影響については十分に把握されておらず、今後の研究課題として残される。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845712964910464
  • NII論文ID
    130007376523
  • DOI
    10.11519/jfsc.129.0_794
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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