極限環境で生育する古細菌がヒトに常在する

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抄録

アーキア(古細菌)は,温泉,火山の噴出物,アルカリ湖などから分離される,高温,高pH,高塩濃度などの極限環境で生息できる特殊な機能を持つ微生物である.アーキアは原核生物でありながら真正細菌とは異なる進化をたどり,系統学的には真核生物に近いグループである.アーキアには多様な種が存在し,主にDiapherotrites, Parvarchaeota, Aenigmarchaeota, Nanoarchaeota, Nanohaloarchaea(DPANN)系統,EuryarchaeotaProteoarchaeotaの3つのグループに分けられている.これまでにもヒトの微生物叢にアーキアが含まれることが報告されており,胃や腸には,Methanobrevibacter属を代表とするメタン生成アーキアの存在が明らかとなっている.これらは代謝過程で炎症性腸疾患,歯科疾患,脳膿瘍のような疾病と関連することも報告されている.また,腸内には好塩性アーキアが常在していることや,皮膚や膣でもアーキアが存在していることが報告されている.しかしながら,ヒトにおけるアーキアの生態とその役割は明らかにされていない.そこで,ヒトの身体におけるアーキアの分布と病原性に関する知見を得たKoskinen らの報告を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Eme L. et al., Nat. Rev. Microbiol., 15, 711-723(2017).<br>2) Koskinen K. et al., mBio, 8, e00824-17(2017).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 54 (7), 716-716, 2018

    公益社団法人 日本薬学会

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