検査法の変更による血清ピロリ抗体価の経年受診者に対する評価

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  • Evaluation of Diagnosis of <i>H. pylori</i> Infection Using Serum <i>H. pylori</i> Antibody Test between Enzyme Immune Assay and Latex Agglutination Turbidity in Follow-up Patients

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抄録

【目的】従来血清H.ピロリ菌抗体検査はEIA法が主流であったが、ラテックス凝集比濁法に検査法を変更したことにより、経年受診者に対し判定不一致例を多数経験した。除菌歴や内視鏡の検査結果も踏まえ検査法による不一致をどう考えるべきか検討した。<br>【対象・方法】2015年9月28日~2016年3月31日までの人間ドック受診者で経年的に血清H.ピロリ菌抗体検査を実施した1,345名に対し、ラテックス凝集比濁法による抗体価と前回値(EIA法)との比較検討を行った。また、ラテックス凝集法で陽性だが、経年的にEIA法にて陰性(3.0未満)であった症例に対し再度EIA法にて再検を行った。<br>【結果】判定一致率は92.7%、不一致率は7.3%であった。不一致例の中で前回EIA法陽性後除菌を行い今回LA法で陰性であった者を判定一致と考えると、判定一致率は95.3%と上昇した。しかし、不一致例の中で、前回まで経年的に陰性(3.0未満)であった者に対して、EIA法で再検を行ったところ全て陰性(3.0未満)であった。<br>【考察】2015年9月より、受注先の検査センターにおいて、ピロリ菌抗体価の検査法の変更があった(EIA法からラテックス凝集法比濁法)。経年受診者の多い当院では前回までの結果値との不一致(不一致率7.3%)例に対し、検査方法の測定原理など充分に理解したうえで、受診者へ説明を行い、別の検査法(UBTなど)にての再検を勧めていた。<br> しかし、経年的に3.0未満で胃内視鏡にてもピロリ菌感染は否定的ないくつかの症例に対して同一検体にてEIA法の再検を行なった所全て3.0未満であった。この結果を踏まえ受診者への結果報告の混乱を避ける為に検査法を従来のEIA法に戻す処置を取った。<br> 今回の報告でもわかるように、陰性陽性一致率は95.3%でありLA法は充分に精度の高い検査法であると評価出来るが、4.7%の不一致例に対して除菌歴・胃内視鏡等の所見を踏まえ決め細やかに対応していくことも重要であると考えた。

収録刊行物

  • 総合健診

    総合健診 45 (3), 466-471, 2018

    一般社団法人 日本総合健診医学会

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