<b>鉄剤の消化管副作用により治療困難であった</b><b>鉄欠乏性貧血に漢方治療が奏効した一例</b>

書誌事項

タイトル別名
  • <b>Kampo Treatment for Intractable Iron-Deficiency Anemia Due to Gastrointestinal Side Effects of Oral Iron S</b><b>upplement</b>
  • 臨床報告 鉄剤の消化管副作用により治療困難であった鉄欠乏性貧血に漢方治療が奏効した一例
  • リンショウ ホウコク テツザイ ノ ショウカカン フクサヨウ ニ ヨリ チリョウ コンナン デ アッタ テツ ケツボウセイ ヒンケツ ニ カンポウ チリョウ ガ ソウコウ シタ イチレイ

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抄録

<p>鉄剤の消化管副作用に対して漢方治療が効果的であった一例を経験したので報告する。症例は35歳女性。17歳時より月経不順が続くため当科を受診した。当帰芍薬散加附子を投与したが,ヘモグロビン7.8g/dl と著しい貧血を認めたため経口鉄剤を併用した。5ヵ月間併用して12.8g/dl に改善したが,食思不振が出現し鉄剤を中止した。その後,貧血は再び増悪,静注鉄剤も使用したが鉄欠乏状態の改善に至らず,原南陽「叢桂亭医事小言」記載の鍼砂湯を参考にして,苓桂朮甘湯加紅参末に鉄剤を減量して投与した。投与前後でヘモグロビン11.6→12.3g/dl,フェリチン4.0→32.0ng/ml と改善し,その後,鉄代謝マーカーは安定的に推移している。鍼砂湯は動悸・息切れ・めまい・浮腫を主な適応とし,いずれの症状も貧血による諸症状と解釈できる。当症例では鍼砂湯の処方構成が鉄分の吸収を促し貧血を改善させた可能性が示唆された。</p>

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